さて、この家の地盤作りの話だが、よく考えたら、このシリーズの一番最初に書いていた。
→ 松阪の土壁の家 2016年10月2日
そこに書いてある通り、地盤は、土建屋さんに頼まず、土木のプロであるお施主さんと木神楽のメンバーで、一緒に作った。
この家を建てる場所は、あまり地盤が良くなかった。だから土壁の重さはあるにしろ、屋根やその他でなるべく軽量化を図ってある。
50センチ近くかさ上げしたのは、道から少し下がっていたからだ。
また、道やその他の高いところから流れてくる水を止めて、地盤の環境をよくする意味もある。
かさ上げする割栗石や土は、一層ごとに叩き締め、何層にもした。
割栗を使うのは、その面の地盤を固めるのと同時に、水はけをよくする為だ。
これは、斜面の上から来る水の流れを止めて、横へそらす為の溝。
生石灰を撒き、その上に割栗石、砕石を敷きつめる。
そして、かさ上げした分、隣地との境には、石を積む。
普通ならブロックの擁壁になるところ。
この石積み、施主さんが器用にユンボ(ショベルカー)を使いこなし、あっという間にやってのけた。
ユンボのオペレーターとしても素晴らしい腕前である。
施主さんとしては、雑に積んだのであまり見て欲しくないらしいが、かっこいいので、公開しちゃう。
路地に面したところは、残念ながら、杉の赤みで作った土留めを作り、土で埋めた。
施主さんとしては、どうしても見せたくないらしい。
将来、杉板が腐る頃には、そこに丁寧に石を積むか、他の方法を何か考えるとのこと。
そんなこんなで、地盤作りは終わる。期間としては、最初に土を入れ始めてから2ヶ月ほど。実働はひと月も掛かってない。
この一連の作業を経験することによって、地盤への意識が高まった。
施主さんは、今回の自分の家作りだけでは終わらず、今後更に、自然の力を利用した、自然に歯向かわない土地作り、地盤作りを突き詰めていくことだろう。
彼の今後が、非常に楽しみである。