内壁下地が出来上がった年末、ヒゲの左官K山氏がやってきた。
皆が休んでいる年末年始、正月休みもせずに左官工事に入るのだ。
そう、彼は現場を円滑に進める為なら、正月だろうと例え夜中になろうとも、家に帰らず仕事をする。
決して威張らず欲張らず、予算が足りなければ僕の分を使ってくれと差し出し、西に困った人があれば助けに行き、東に病気の人があれば行って励ます、そんな宮沢賢治のような左官職人である。
今回は、冬休みに入っている高校生の息子も連れてきて、親子で漆喰塗りである。
なかなか手つきの良い彼は、果たして左官屋になるのだろうか。
お父さんは結構期待しているようではある。
さて、もちろんいつもの調子で、オーナーや我々も参加する。
この壁面は、プロジェクターで映像を写したいとのオーナーの希望により、なるべく平らにするべく、皆でコテで押さえる。
オーナーであるご兄弟二人も中々器用である。
そして、ご覧のように、綺麗な漆喰壁が出来上がった。
ちなみに、この漆喰壁は、石膏ボードに薄塗りで仕上げてあるので、工期は短く済む。
ただし、厚みが薄いので、強度はあまり無く、ボードの継ぎ目でひび割れなどが起こりやすいが、私としてはあまり細かいことにこだわらず、漆喰の質感を楽しんで欲しいと思う。なおひび割れた漆喰は補修可能だ。