小さなカフェの作り方 これで最後の左官工事


注)この現場は2019年2月に完了し
ています

これまで延々と左官工事の様子を綴ってきたが、それもようやく今回で終わりである。小さなカフェ最後にして最大の見せ場である外壁を仕上げるときがやってきたのだ。

左官の仕上がりには、無限の可能性が感じられる。左官仕事は、古代から世界の様々な地域で、建築の主要な仕上がりを担ってきた。

今回使う漆喰の主原料〝石灰〟は、その中でも代表的な素材であると言えよう。石灰は、水で練ることにより造形することが出来て、雨にも強い。さらには空気中の二酸化炭素と結合し、長い年月を掛けて硬化し丈夫な素材となるのだ。そしてここ日本では、その石灰にスサとノリを足した〝漆喰〟が丈夫な仕上げ材として使われてきた歴史がある。

漆喰については、ここのサイトが分かりやすく書いてある↓

さて、そろそろ本題の漆喰塗りにいこう。ここの外壁は、ただの白い漆喰を塗りたくはない。大自然との繋がりを感じられる土っぽさを出したい。K山左官と相談の上、漆喰に砂や土を混ぜて塗ることになった。

 

 

 

まずは材料作り。工房にあった土を持ってきて、それをふるいに掛ける。
よく練った漆喰に、土と砂を混ぜる。その配合割合により、土っぽくもなるし、白っぽくもなる。

そして、塗りつけ開始。ここでは色々な表情を出すために、あえてランダムに塗り付けていく。材料の配合も、漆喰を多くしたり土を多くしたり色々変えたものを塗る。

最初の塗り付け。実はこんな塗り方をするのは初めて。さてどう仕上がるのか。
隙間を埋めるように、違う配合の漆喰を塗り付けていく。
そうするとこんな感じに!これはこれで油絵っぽくてカッコいいかもしれない。

そしてここからがさらに最後の仕上げ〝掻き落とし〟へと移る。表面が乾いたら、その表面を文字通り掻いて落とすのだ。

使ったのはこれらのヤスリ。この他にも実は様々なものを試して表面を削ってみた。その中で最適だったものは、、どれだったかは忘れた。

そして表面をガリゴリ削る。削ると表面はザラザラしてきて、まるで自然に風化したような仕上がりになっていくのだ。

表面が乾いて固まっていないと上手く削れない
掻き落とすと、表面はこのようにザラザラとなる。
表面についた細かい砂や土を吹き飛ばす

そして何とも不思議な外壁が出来上がった。まるで月面写真を見てるかのようにも感じる不思議な仕上がりだ。ちなみにここでは顔料なるものは使用していない。土や砂によってのみ色を出している。

色が薄いところは漆喰が多くて、濃いところは土が多いということだ。

これで、今回の左官工程はようやく終わりを迎えた。あとは少しの大工工事と設備を取り付ければ完成だ。

つゞく

大工歴30年、小さな工務店社長が綴る独断と偏見のBlog。 《木神楽》青山高原の麓に工房を構え、木と土の家・古民家再生・タイニーハウスなどを主に手掛ける。お役に立てることがあれば、何でもご相談を。