秘話といっても大した話はない。
このジュリー珈琲(以降、小さなカフェと呼ぶ)のオーナー様から連絡があったのは、かれこれ一年以上前の話だ。なんでも自宅の庭に小さな小屋を建てて、そこでカフェを始めたいと言うのだ。最近スモールハウスづいてる私としては、飛び上がらんばかりの楽しいお話である。
そこで、私から提案させていただいたのが、かねてから温めていた円い小屋のアイデア。実は以前このような円い建物を却下された経験があった。。
(それでも懲りずに)ダメもとでご提案したところ、思いもかけず気に入っていただき、全面的に制作を任される運びとなったのだ。
円い建物となると、どうしてもイメージは、おとぎの国、ムーミンの世界にあるような感じになる。しかし果たしてそれをどうやって現実化できるのだろう。それを解く鍵は、うちが得意としている木と土の家作りにあった。
「今度円いカフェを作ることになったんだけど、円い壁をどうやって作ろうか?」私は職人たちに相談した。仕上げは土か漆喰で塗ろうとは思っていたのだが、問題はその下地をどうやって作るかだ。私も含め、大工達が頭をひねる中、土で塗ることにこだわり続けているK山左官はこともなげに答えた。
「そんなの竹を曲げて作ったらいいんですよ。竹ならどんだけでも曲がるし、そこに土を付ければどんな形でも作れますよ!」これで、また一歩前進だ。
続く