現場へ持って来た荒壁土にも、もちろん藁スサは入っているのだが、ここからさらにたくさんの藁スサを入れる。
そして水を足してよく混ぜる。
実際に中へ入り、足でよくこねる。
藁スサが片寄らないように気をつけながら混ぜる。
ちょうど現場を訪れたお施主様も飛び入り参加。
遊んでいるわけではないのだが、泥遊びみたいで結構楽しい。
このようにしてよく練った土は、池のようにたっぷり水を入れて、乾かないようシートをかけておく。
(水を枯らさず管理できるのであれば、シートなど使わずに自然の池のように作るのが良い)
そうして数ヶ月間〜、時間があるなら1年でも2年でも寝かす。
そうすることで、とってもいい状態の土になるのだ。
つゞく
この家の建築準備が始まったのは、昨年、2017年7月のことだ。
場所は、伊賀のとある山間部。
周りを雑木林に取り囲まれ、とても自然豊かな環境である。
我々が行った時には、すでに集落の奥の山が造成され、いつでも建てられるように、平地が出来上がっていた。
10時の休憩場所を作ると、そこはまるでリゾート。
すぐ横には小さな池というか沼があり、そこにはモリアオガエルが住んでいるらしい。
建築予定地にあった野鳥の巣。
池のほとりで昼寝をする職人。
この日はなんてったって暑かったのだ。
さてそこで我々がまずやったのは、荒壁土を寝かす事だ。
土壁の家づくりでは、基礎をするよりも契約をするよりも早く、現場で土を寝かす。
そして土壁作りを担当するのは、この二人。香川からやって来たkenちゃんと、左官の親方K山氏。
土を入れる場所を作り、そこに泥コン屋さん登場。
つゞく
伊賀で始まった、石場建ての家の新築。
建て前をしたのは、4月のあたまだ。
この現場のことを少しずつご紹介していこう。
まず、この家を設計施工するのは、sigezo率いる我々、チーム古民家のメンバーである。
チーム古民家については、こちらを参照あれ↓
まず、設計するのは、sigezoこと、中村茂史一級建築士事務所の中村氏
ホームページを見ると分かるが、彼が推し進めるのは、一貫して、杉で作るシンプルな木の家である。
彼の設計のスタイルは決まっていて、決してぶれることはない。
奇をてらわず、華美にならず、無理をせず、しかし大胆ではある。
その徳島杉の厚板を使ったシンプルで大胆な木組みは、非常に特徴的である。
お施主様は、sigezo氏のぶれない考えと設計に惚れ込み、依頼されたのであろうと思う。
そして、今回、大工棟梁を任せたのは、丹建築の丹羽君。
彼は、友人大工のikeちゃんの弟子であったが、独立し、なんとアメリカで、お寺のお堂を立てるというプロジェクトに参加していた。そしてそのアメリカから戻ったタイミングで、今回の新築プロジェクトに参加することになった。
そして、左官工事はを担当するのは、いつもニコニコ笑顔、しかしその秘めたる想いは誰よりも熱いK山左官。
そして私はというと、全体の工事の統括を行う役目である。
そしてもう一人、このプロジェクトに欠かせない主要なメンバーがいる。
いとか工務店 ユーキ君
彼は実は、以前木神楽で施工させていただいた、『松阪の石場建ての家』のお施主様だ。
土木の会社に長らく勤めていたユーキ君は、現代土木に反旗を翻し、昔ながらの土木、自然と共生する土木を目指し独立した。
その彼によって、今回の家の基礎である石場建ては、実現される事となったのだ。