注)この仕事の心構えシリーズは、基本的に独断と偏見に満ちている。
書く事によって、自分への気づきとするのが、一番の目的だ。
さて、 大工になるには、何処かに弟子入りする必要がある。大工に限らず、何かのプロフェッショナルになる為には、弟子入りし、そこで技術や心構えを学ぶ必要がある。ここでは、弟子を受け入れる側からの話を書こう。
なぜ弟子を取るのか
弟子を取るのは大変だ。仕事をいちから教えなければならないし、職人仕事が出来るようになるまでは、長い時間が掛かる。それでも弟子を取る理由は、大まかに次の3つだ。
1.自分の仕事の補佐
これがまず一番の理由だ。仕事が忙しくなってくると、自分一人では仕事は回せない。そんな時に自分の代わりにやってくれる職人がいると助かる。ただし、仕事が出来るようになるまで、長い時間が掛かるので、それまでは辛抱が必要だ。
2.職人の育成
いつまでも自分たちの世代で仕事が出来るわけではない。誰かが若い者へ教えて、次の世代へ引き継がなくてはならない。自分も弟子入りして、仕事を教えてもらった。
3.自分自身の成長
弟子を取り、育てると言うことは、実は自分こそが学び、育つ事だと思っている。
人にものを教えようと思ったら、自分こそが、まず理解していなければならない。そして仕事に対する自分自信の動かない考え、信念、というものをしっかり確立させる必要がある。親方自身がぶれぶれでは、弟子も迷ってしまうだろう。
人に仕事を教える立場になって、初めて自分の仕事にも目が向く。人にうるさくものを言って、そこで、あれ、自分もできてないじゃん、と気づく。
だから、弟子を取り、育てることは、自分こそが育つチャンスなのだ。
職人の心得の追加
職人としては、当然の心構えなのだ。
弟子、大工見習いは特にしっかりと取り組んで、習慣としておくように。
これは、1日を無為に過ごすな、ということ。
勘違いしていないか。
仕事って、時間通りに来て、時間が来たら帰ったらいいのでは無いよ。
職人とは、よりいい仕事を、よりきれいに、そしてより早く出来るよう目指すもの。
仕事は、イメージ通りには進まない。途中で予定してなかったすべき事が必ず出てくる。
ほぼ9割方は、思っていたより手こずり、時間が掛かってしまうものだと考えて良い。
が、いかにそれを少なくし、自分の思い描くように進めることができるようになれるか、だ。
それには、毎日ブラッシュアップし続けることである。
1日の始めに自分の仕事をイメージし、出来なければ、どうして出来なかったかを考え、それに翌日に生かす。
それを毎日毎日、繰り返す。そのことによって、少しづつ進歩する。
職人仕事は、急に出来るようになったりしない。毎日の小さな繰り返しの作業によって、磨かれ、出来るようになるもの。
その事を忘れず、日々1日たりとも怠るな。
これは、お客様には直接関係ないことだが、弟子育成の為に考えて、書き出してみた。
心得とは、つまり仕事をするにあたっての心構え。職人の心得は職人であれば当然のこと。弟子の心得は、見習いとしての心構えだ。内容については、思いついたことがあれば増やすし、また変更したり、削除することもあり得る。
(ここでの職人とは大工のことだが、どんな職人についてもおおよそ共通することだろう)