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小さく住む家

小さく住む家㉑大地を壁に 実地編

美杉から現場に戻った我々は、早速壁を塗る準備に取り掛かる。

 

今回塗る壁は、こちら、スモールハウスの正面壁。
数日前に、下地モルタルを施工済みだ。

 

現場で待機していた弟子の桝屋、スノーボーダー坂下と合流し、K山左官を含めた4人で壁塗りの準備を始める。

まずは、朔で拾ってきた陶器のカケラを、ハンマーでさらに細かく砕く。

 

それらを土に混ぜ込み、一緒に壁に塗り込むことによって、面白い壁になると考えたのだ。

もちろん、美杉町の朔由来の壁だという証でもある。

 

さていよいよ壁に付ける。

 

先ずは接着の役目を果たすモルタルを塗り、その上から、美杉で採取してきた土を塗りつけていく。

 

塗り方は、手でぐちゃっと。付けた土の大部分は、パラパラと下に落ち、唯一モルタル面に接着している土だけが残る。

そんな感じでどんどんと塗り進める。

そう広くない面積なので、半日ほどで終了。

 

 

 

そうして、塗りあがった壁がこれだ。

 

 

 

 

この状態は、まだ塗りたてなので、完全な仕上がりでない。

この後、日を置いて、乾いた壁面の余分な土を擦り落とす。

さらに接着力を高めるために、樹脂ボンドを吹き付けると、ようやく大地の壁の完成である。

 

続く

 

小さく住む家⑳大地を壁に 美杉編

晩秋のとある日、我々は、紅葉色付く山を見ながら車を走らせていた。

向かったのは、津市美杉町の山の中にある一軒家。

色付く紅葉が大変美しい。

そして、この見覚えのある丸い池と、遠くに佇むヤギ。
そう、ここは以前、木神楽で施工させていただいた日本料理店『朔』だ。

 

施工したと言っても、ここのセンスあふれる庭や店の造作は、ほとんどオーナー夫妻のセルフビルドによるものだ。

 

 

さて、そんな朔に来て誰もが目を向けるのは、何と言ってもこの特徴ある増築部分だろう。

 

四角く突き出た部分は、もちろん木のフレームで作っているのだが、注目すべきはこの外装である。
左官仕上げなのだが、まるで大地と一体となったようなその仕上がり。もちろんオーナー夫妻の手作りである。

この壁に強く惹かれていた私は、是非とも『小さく住む家』で再現したいと考え、その作り方の秘訣を探りに来たのだ。

 

 

我々が訪れた日は、ちょうどお店が休みの日で、オーナーご夫妻にゆっくりお話を聞く事が出来た。
何とあの壁は、そこら辺の土をただ拾ってきて、塗りつけただけだという事である。

 

それを聞いた我々は、オーナーの許可を得て、そこら辺の土を戴くことに。

紅葉の落ち葉をかき分け、崩れて露出した山肌の土を少々分けていただく。
この辺りの土は、砂や小石混じりの山砂。
この色々混じった感じが、あの壁の雰囲気を醸し出しているのだろう。

 

 

そして、帰り掛けに何気に見た地面に、多数落ちている陶器のかけらを発見。

実は、ここの奥様は焼き物で彫刻などを作るアーティストでもある。
その製作時に捨てられたこれらのかけらを、拾い集める。

 

 

さあ、材料が揃った。
現場へ戻って、大地の壁を作ろうではないか。

 

つゞく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小さく住む家⑲ついに出来たシダーシェイク!

カーブした外壁やら、張っても張ってもなかなか進まない板張りなど、大変な作業であったが、一歩づつでも進めばいつかは終わる。

夢にまで見たこの日を、我々は迎えた。

そう、外壁がようやく張り終わったのだ。

思えば、私の不用意な思い付きにより始まったシダーシェイク張り、
そして、丸いとかっこいいなぁなどと軽く考えたデザインにより、職人を苦しませ、お施主様にご迷惑をお掛けすることになった。

しかし、その仕上がりはどこに出しても恥ずかしくないし、お施主様もきっと喜んでいてくれているはずだ。
細かい板を何重にも重ねたこの外壁は、年月を経るほどに深みが出て、味わい深くなり、そしてきっと長持ちもするはずである。

 

 

 

では、その張り終わった外壁をご覧いただきたい。まずは西面。

西側は空き地なので、こちらからその特徴的なフォルムがよく分かる。
道を通る車が、Uターンしてじっくり眺めていく、ということが何回かあった。

 

東北から見た面

玄関の曲がった丸太柱、丸窓がワンポイントだ。

 

南面、正面より

実は、この正面だけは、左官仕上げにすることにした。
当初予定は、板張りにするつもりだったが、あまりに大変なのと、正面だけはちょっとイメージを変えようということになったのだ。
写真に写っているのは、その下地の状態である。

どういう左官仕上げになるのかは、今後のお楽しみ。

 

 

ここで、この外壁を貼った二人を紹介しよう。

大工見習い5年目、弟子の桝屋と、左官も畑もスノボーもするスーパー大工、坂下氏だ。
これに懲りず、また今後の木神楽の仕事を支えてほしい。

 

小さく住む家⑱漆喰を塗るぞ 上塗り編

前回の下塗りから数日置いて、この日は仕上げの漆喰塗りを行う。

 

 

この日は、前回のメンバーから大工二人が抜けたが、見学のS設計士が増えて総勢7人で、漆喰塗りにトライ。

漆喰は、K山左官が前日に練って作り置きしておいたものだ。

 

漆喰をコテで塗るのは、ヌルヌルして塗りやすく、気持ち良い。
と言っても左官屋さんの様に平滑には塗れないので、ここでは塗りつけてコテ跡を残す感じで仕上げる。

 

 

お施主様は、この洗面カウンター下の狭いところを担当。

 

広いところは、皆んなで一斉に塗り付ける。

 

そして、漆喰塗り終了!

さて漆喰塗りをやってみて分かった素人の漆喰塗りのポイントは、なんと言っても養生だ。
強アルカリ性の漆喰が木部に付くと、黒く変色してしまうので、付かない様に塗らなければならない。

そのために、丁寧なマスキング作業が必要だ。
さらに塗り終わった後も、マスキングテープを剥がして掃除するのだが、ここでもついうっかりと漆喰がついたまま雑巾でも拭こうものならば、強アルカリのおかげで、木部はひどい変色となる。

漆喰を扱うのは、何かと注意が必要だ。
が、なんと言ってもその吸放湿性、そしてアルカリにおける殺菌作用、その素材の持つ白さ、そして何より有機質ではない、無機質であることが魅力的な素材である。

 

 

 

 

 

 

小さく住む家⑰漆喰を塗るぞ 下塗り編

外壁工事進行中の小さく住む家であるが、この日は左官屋さんを呼んで、内部の壁塗りを始める日だ。

 

 

下地は石膏ボード。漆喰塗りの行程はおおよそ2工程に分かれる。

1.下塗り  石膏プラスターという下塗り材を使用

2.上塗り  仕上げの漆喰塗り

実は漆喰は石膏ボードに直接塗ることはできない。
漆喰、つまりは石灰であるが、これは強アルカリ性なので、そのアルカリ成分によって、石膏ボードの紙が劣化してしまうのである。
そのために一度下塗り材として強さのある石膏を塗るのだ。

ちなみに、強アルカリ性の特徴として、手が荒れるので、直接手で触るのは良くない。
ただし、固まってしまえば問題ないし、その強アルカリ性のおかげで、漆喰には強い殺菌作用があるのだ。

ということで、今日のところは、下塗りである。
左官屋さんに手本を見せてもらい、皆んなで一斉に塗りだす。

 

 

そう、この日は我々大工も外壁張りを一時中断して参加、さらには左官屋さんの助っ人やら友人、そしてもちろんお施主さんも加わっての大人数での施工。
ただでさえスモールな室内で、総勢8名が所狭しと壁塗りをするのは、結構大変だ。

 

 

 

 

にこやかにコテを扱う彼女は、イタリアからの研修生である。建築士である彼女は、日本各地を渡り歩き、ジャパニーズ土壁の勉強をしているそうだ。
現在、たまたま三重の来ていて、今回の壁塗りに参加した次第だ。

 

 

 

お施主様も、初めての壁塗り。慣れないコテ使いに四苦八苦。

 

 

そんなこんなで、この日の下塗りは終了。
次の仕上げの漆喰塗りは、この下塗りが乾けば決行である。

 

 

 

小さく住む家⑯カーブした外壁を作る

さて、なかなか進まない外壁のシダーシェイクだが、それに加えてもう一つの難関があった。

それが、正面両袖のカーブを切った袖壁である。

これは単なる飾りではない。
屋根を支える重要な構造であり、夏の東・西日を遮る壁にもなる。

ま、カーブしている必要はないのかもしれないが、何故かここは丸くするべきだと感じたのだ。

 

そんなこんなで、試行錯誤しながら、工事は進む。

 

深い軒を支えるための桁を取付け。

 

あとは、アールに沿って板を切り、貼っていけばいいが、そんなに簡単には進まない。
が、慌てずにいこう。
作業した分は確実に終わっていくのだ。

 

つづく

小さく住む家⑮シダーシェイクを張る

さあ、ようやくお楽しみの外壁工事に取り掛かる時が来た。

以前お施主さんにも手伝っていただいて下準備をした、杉の赤身板を張るのだ。

 

短く切った板を、重ねて貼っていく。幅はランダムにし、長さも変える。
張り方によってテイストは大きく変わるが、それは実際の施工に当たったこの二人に任せた。

 

 

板は、雨が入らないよう、そして釘が見えないようにと、3枚重ねになっている。
要するに、通常の板の3倍分を張る必要がある。

下から順番に貼っていかなくてはならないし、1日貼ってもたいして進まない。

何でこんな面倒な張り方をするのかと、二人のボヤキが聞こえて来そうだが、いいものを作るには手間暇が掛かる。
そこのところを理解してもらいたい。

 

そうして、徐々に貼り上がって来た外観。
いい雰囲気になって来たではないか。

 

 

 

 

 

小さく住む家⑭引っ越しの日を迎える

11月に入り、いつの間にか北風が吹く季節となった。

このスモールハウス、先日から内装ばかり進めていて、外部がまだ手付かずだ。

なぜなら、10月末にはお施主様の引っ越しが控えており、なんとかそれに間にあわせる必要があったのである。

かくして何とかお引越しまでに内装はほぼ出来上がり、通電し水道も通った。

 

お施主様が作った仮のポストもお取り付け。

 

とはいえ、外回りはまだこんな状態。

実はガスもまだ繋がってなくて、この後しばらくご不便をお掛けすることになる。

 

 

 

そして、ようやく我々は、外壁の工事に手をつけることになるのだが、ここからがまた苦難の始まりであった。

続く

 

小さく住む家⑬簾戸の使い方

簾戸(すど)をご存知だろうか。

格式高い旧家などで見られる、夏用の建具のことだ。
字の通り、すだれを建具の障子の代わりに入れ、風通しを良くするものである。
昔の日本家屋では、夏になると簾戸に入れ替え、涼しげに過ごしていたらしい。

 

さて、そんな古建具の簾戸が木神楽には長い間、在庫として眠っていが、今回ようやく日の目を見ることになる。

ここは、就寝スペースへの入り口。適度に視線の遮ってプライバシーを確保しつつ、しかし空気は通すという、この場所に最適な建具であろう。

 

簾戸の在庫は、まだまだあるので、今後もご希望のお客様があれば、どんどんと使っていきたい。
もちろん古建具なので、それなりに傷や汚れはあるが、框が漆塗りの高級建具である。

 

そして、玄関から入るダイニングと、サニタリールームへの入り口。

ここには少し幅が狭いめの硝子戸を入れる。
これは、去年、明和町で解体された古民家から引き上げてきたものだ。
早速再利用できて、嬉しい。

 

 

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