小さなカフェの建築期間は?〜大阪の小さな円いカフェ

およそ4ヶ月掛かる

小さな円いカフェは、壁が土壁で出来ている。土壁は仕上げるまで3回〜4回の工程があり、それぞれ乾燥しないと次に進めない。その期間も季節によりけりだ。

土壁の乾燥期間を考えると、工事期間は早くても4ヶ月だ。土壁の家づくりは、急いでは出来ない。乾燥する工程は自然に待つしかない。下地に使用する竹は、秋にしか取れない。土壁の家作りは自然と共にあるのだ。

ちなみに、この大阪のカフェは11月末に着工して、完成したのは4月アタマであった。

竹小舞の下地施工

ではここからは、土壁塗りの様子をさらっとおさらいしたい。

下地は竹で組む。竹は自在に曲げることができるので、こういう曲線のあるところには向いている。

まずは外壁の竹下地を作る
荒壁塗り
荒壁土を扱っている建材店は、今や貴重な存在。
オーナー様も荒壁付け

ここまで出来たら、一旦乾くまで待つ。季節・条件にもよるがおよそ10日〜数週間掛かる。外が乾いたら、次は内側からも荒壁を塗る。ここが一番乾きにくい。乾燥期間はおよそ2週間〜3週間。

室内側の下地の様子。外と同じように竹を組み、荒壁を塗る
大直し

乾燥した荒壁の上に大直しを塗る

材料は、現場で練って作る。荒壁土にスサ・中塗り土・砂を混ぜる。配合割合はその時の土の状態による。左官の勘が必要だ。
乾燥した荒壁に擦り込むように塗り付ける。
内部はこれが仕上がりになるので、丁寧に塗る。
曲線を仕上げるには、工夫が必要。

ここで、さらに乾燥期間を空ける。

外部に仕上げ塗りを施す
材料作り。ここでは土と石灰を混ぜた『灰中仕上げ』とする
灰中塗り。大きな一枚の土壁を塗る時は、塗りムラが出ないように、一度に大勢で塗るのだ。
塗り終わった直後の外壁。乾くともっと白くなる。

速さを求めるなら、工場生産のプレファブリックな建物が良いだろう。土壁の家はその真逆であるが、限りなく環境負荷の少ない、持続可能な家作りである。


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大工歴30年、小さな工務店社長が綴る独断と偏見のBlog。 《木神楽》青山高原の麓に工房を構え、木と土の家・古民家再生・タイニーハウスなどを主に手掛ける。お役に立てることがあれば、何でもご相談を。