伊賀石場建ての家 web内覧会その1

ずいぶん更新をサボってしまい、もうとっくに終わってしまったが、改めて伊賀の石場建て新築について、その後を書いてみたい。

前回の更新はこちら

ちなみに設計は、奈良の一級建築士しげぞー氏である。しげぞー氏は、木の家ネットを介して知り合った、伝統構法においては見識の深い頼れる設計士だ。今回の家づくりにあたっては、しげぞー氏を中心に頼れる職人仲間でチームを組んで取り掛からせてもらった。素晴らしい環境の中で、思う存分仕事をさせていただき、施主様やしげぞー氏には、感謝しかない。

さて、もう完成しているので、竣工写真などを元にこだわった部分などについて説明したいと思う。

焼き杉と土壁、何より深い軒が家を長持ちさせる

越し屋根が特徴的な大きな平屋建て
足元は、コンクリート基礎は使わず、自然石の上に柱が建っている

特徴的なのは、何と言っても石場建てだ。コンクリートに頼っていないので、長い目で見れば、劣化することはない。そりゃ石だけだから当然だが200年、300年、いやもっと長く残る昔ながらの建て方である。それ以上に、この土地、自然に負担をかけずに共生していくという理念のもとにこの石場建てがあるのだ。

東斜面に大きく張り出した水廻り棟

これらの写真を見て気づいたと思うが、大きく屋根が張り出している。これはしげぞー氏の設計の特徴である。ここまで軒が深い家はそうそうない。

軒の出は、基本1間(約1.8m)だ。これだけの軒があれば、家の外壁に雨が当たることは少なく、家自体が傷みにくい。そして夏の直射日光は防ぎ、冬の低い日差しは部屋の中まで入るのだ。

 

ガルバリウム鋼板の屋根は、落ち着いた銀黒色。

屋根はガルバリウム鋼板葺き。この屋根の特徴としては、当然として軽い。軽いから構造に余分な負担が掛からない。軽いから耐震的にも有利だ。そして緩勾配にも対応できる。

玄関部分は土壁仕上げ、他は焼き杉張りの外壁。
竹で組んだ下地に荒壁を塗りつけた

外壁は焼き杉張りだが、玄関部分は土壁仕上げとなっている。このように土を全面に塗る場合、ラスモルタルを使うことが多いが、ここでは自然素材のみで作っっているのだ。

つゞく

大工歴30年、小さな工務店社長が綴る独断と偏見のBlog。 《木神楽》青山高原の麓に工房を構え、木と土の家・古民家再生・タイニーハウスなどを主に手掛ける。お役に立てることがあれば、何でもご相談を。