松阪の土壁の家は、施主さんのこだわりが半端ない。
そのひとつが、コンクリート、セメントに頼らない家作りを追求している、というところだ。
通常の家作りにおいては、コンクリートやセメントを使わないなんてことはあり得ない。
実は、木造住宅程度なら、必ずしもコンクリート基礎は必要でないと自分も考えている。もちろん、それには、それなりの条件はある。
その条件とは、地盤、間取り、そして構造だ。
さて、昔から建っている伝統的な建築には、コンクリートやセメントは使われていない。それは当然で、その頃はそんなものは無かったからね。
先人の匠達は、工夫を凝らし、その地にある自然から採れるものだけを使い、地盤を固め、基礎を作り、家を建ててきたのだ。
ここで言いたい事は、コンクリートやセメントに頼らなくても、長持ちする家は作れる、ということだ。
問題は、じゃあそれで地震に強い家が作れるのか、というところだが、それはまた別のところでお話しする。
さあ、前置きが長くなったが、松阪の家の話に戻ろう。
ここの玄関土間は、三和土である。
三和土とは、読んで字の如く、三つのもの、土・苦汁・石灰を混ぜて作る土間を言う。当然ここではセメントは使用されない。
完成した三和土は、普通の人が見たら、おそらくコンクリートと勘違いするだろう。それほど固く締まった土間を土で作ることが出来る。
しかし、この三和土作りは大変だ。なめて掛かってはえらい目にあう。もしくは失敗する。
ひと現場、三和土仕事をやると、さすがの小山左官も数日間寝込むほどの労力が必要なのだ。
ま、それは大げさにしても、本当に体力を消耗し、身体を壊すほどである。
つづく