松阪の土壁の家⑧ 外壁編

過去工事シリーズ、松阪編を久しぶりに書こう。

前回は、荒壁付けまで来たので、そこからの造作工事について書く。
さて、土壁が乾いてきたところで、造作が始まる。

まずは外壁周りからだが、外壁を張る前に、大直しと言って、荒壁の上に土を塗る。
これによって、土壁の強度が増すのだ。

杉の赤身板を張る

さて外壁は、杉の赤身板を縦張りにした。
張り方にもこだわったが、それは写真を見て感じてもらいたい。

名付けて、杉赤身板の底目地張り。
底の目板は、墨汁を塗った。

正面は、軒が深いので外壁は張らず、漆喰塗りにする予定。
予定というのは、まだ大直しの状態で仕上げ塗りはしていない。
仕上げは、何年かしてから塗るのが良い。そうすることにより、柱との隙間が空きにくくなる。

図面描きは面白い

そしていつものごとく、玄関は木製建具だ。
今回は、リビングの掃き出し窓も、思い切って大きな木製建具で作ることにした。
この辺りのいわゆる納まりを考えるのが大変だが、それをCADを使って考えながら描くのが面白い。
非常に難しい納まりでも、図面を描いていけば、どうすればいいか見えてくる。
そして上手く図面が描けると、それはもうとても嬉しいのだ。
もちろん、それを今度は現場で再現しなくてはいけないのだが、図面がしっかりしていれば、職人も仕事はし易いのだ。

注)ここで言う図面とは、細かい部分の納まり図のことだ。
一般的な平面・立面図だけで、家は作れないことはないが、細部は大工の技量に任されることになる。

何だか専門的な話になってしまったが、要するに図面を書くのは苦痛ではなく、楽しいということなのだ。

つづく

大工歴30年、小さな工務店社長が綴る独断と偏見のBlog。 《木神楽》青山高原の麓に工房を構え、木と土の家・古民家再生・タイニーハウスなどを主に手掛ける。お役に立てることがあれば、何でもご相談を。