まず外観から見ていこう。
南面に深く突き出た軒により、多少大きく見えるが、6.25坪の極小住宅だ。
屋根は、シルバーカラーのガルバリウム波板。安価で施工しやすく、さらに波の部分が通気層になって一石二鳥である。
特徴ある外壁は、杉の赤身板を細かくうろこ状に貼ったシダーシェイク。
板は、3重重ねで雨の侵入を防ぐ。張り方によって色々表情を変えることができる。
この外壁、実は私自身が永年やりたかった事だ。この小さく住む家でついに実現できてとても嬉しい。
家づくりは、お客様の夢の実現であるが、それに私達も乗っからせてもらい、作り手として楽しませてもらっている。
そして正面、南のウッドデッキ。
深く突き出た軒により、雨の日でも快適である。もちろん、壁の間接照明でナイトシーンもバッチリだ。
さらにこの軒、部屋への日差しを夏は防ぎ、冬は目一杯取り込む。
ウッドデッキ両側の袖壁。
この湾曲した両袖壁は、屋根を支えるのはもちろん、夏は東日・西日を遮り、冬はウッドデッキへの北風の回り込みを防ぐ役割を担う。
ウッドデッキ面の外壁は、オリジナル土壁仕上げ。
土だけでは壁への接着力がないので、モルタルとボンドを併用。
玄関ポーチの屋根も大きめ。
玄関ドアもポーチも木製なので、これくらいは必要だ。
つゞく
さて、なかなか進まない外壁のシダーシェイクだが、それに加えてもう一つの難関があった。
それが、正面両袖のカーブを切った袖壁である。
これは単なる飾りではない。
屋根を支える重要な構造であり、夏の東・西日を遮る壁にもなる。
ま、カーブしている必要はないのかもしれないが、何故かここは丸くするべきだと感じたのだ。
そんなこんなで、試行錯誤しながら、工事は進む。
深い軒を支えるための桁を取付け。
あとは、アールに沿って板を切り、貼っていけばいいが、そんなに簡単には進まない。
が、慌てずにいこう。
作業した分は確実に終わっていくのだ。
つづく
さあ、ようやくお楽しみの外壁工事に取り掛かる時が来た。
以前お施主さんにも手伝っていただいて下準備をした、杉の赤身板を張るのだ。
短く切った板を、重ねて貼っていく。幅はランダムにし、長さも変える。
張り方によってテイストは大きく変わるが、それは実際の施工に当たったこの二人に任せた。
板は、雨が入らないよう、そして釘が見えないようにと、3枚重ねになっている。
要するに、通常の板の3倍分を張る必要がある。
下から順番に貼っていかなくてはならないし、1日貼ってもたいして進まない。
何でこんな面倒な張り方をするのかと、二人のボヤキが聞こえて来そうだが、いいものを作るには手間暇が掛かる。
そこのところを理解してもらいたい。
そうして、徐々に貼り上がって来た外観。
いい雰囲気になって来たではないか。
さて、外壁のシダーシェイクに使うのは、比較的安価に手に入る2m長さの杉板、もちろん赤身である。
それを短く切り、並べてみた。
うん、なかなかいいのではないだろうか。
板の幅が同じではつまらないので、割って、わざとランダムにしてある。
ではこれでいこう、ということで早速準備に掛かる。
まずは、板を削る。
板を削らず張ってもいいのだが、この家では、杉の赤身を綺麗に出したいのと、無塗装なので、雨弾きのことを考え、表面を削ることにした。
削っているのはお施主さんだ。
限られた予算内で少しでもいい家づくりをする為、お施主さんといえども、ばんばん働いてもらう。
作業は、自動カンナに通すだけなので、簡単ではあるが、とにかく枚数が多いので大変である。
うちのスタッフもお手伝いし、1日がかりでおよそ60坪分の板を削った。
そして次の行程は、この板を短く切っていくのだが、これはまた次回、お施主さんが休みの日に来てもらって行う予定である。