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タグアーカイブ えつり

小さなカフェの作り方その5

土壁を塗る

注)これは2018年12月の話です

この日、朝早くから現場に続々と集まる職人達。K山左官を筆頭に、大工や左官、さらにこの店のオーナーまでも。荒壁を一日で一気に塗ってしまう必要があるために人手が要るのだ。

荒壁とは、藁と土を混ぜた竹下地(えつり)に最初に塗りつける土のことを言う。その後、その壁が乾くごとに、大直し、中塗り、仕上げ塗りなど何回もの工程を踏まえて壁は完成する。土壁はその総称。

荒壁用の土は、近隣の泥コン屋さんから朝イチ運んでもらう。これを早速、えつり(竹下地)に塗り付けていくのだ。

泥コン屋とは、荒壁土を専門に扱う業者さんのこと。これも年々需要が減って廃業するところが多く、今でも営業しているのは貴重な存在。

こういう作業は、いつも大勢の職人でワイワイと楽しくやる。そう、建前と並んで家づくりのメインイベントなのである。そしてこの大勢の職人の息がピタリと合った時、それはもうすごい勢いで壁土が塗られていく。こういう作業は、大まかなミーティングはするが、その場の動き・流れで、各々が自分のやるべきことを判断して動くのだ。

この日は、自分も入れて総勢7名。次に新築予定のお施主様もお手伝いに来てくれた。
窓周りを円く仕上げる。手間の掛かるところだが、慌てず丁寧に。
塗り付けが終わったら、大きな定規を当てて、平らな面を出していく
全面に塗り付けが終わった!
壁の曲線も綺麗に。

何だか不思議な形の建物が出来上がって来たぞ。しかし完成はまだまだ。土壁塗りも、まだまだ続くのだ。

つゞく


小さなカフェの作り方その4

壁にえつりを編む

屋根が出来たら、次は壁だ。ここの壁は円いので、どう仕上げたらいいのかが課題であったが、それはK山左官が一瞬のうちに解決したことは、先般お伝えした通りだ。→ジュリー珈琲制作秘話

竹割器で竹を割る

壁に使うのは、竹と土のみだ。竹はいくらでも曲がるので曲線下地を作れるし、大体の形を作っておけば、あとは土でどんな風にでも塗っていける。

材料に使う竹は、自分たちで山から切ってきたもの。それを写真のような竹割器で、いい具合の幅に割る。もちろん竹の太さはまちまちなので、いく種類かある竹割器の中から太さに合わせてチョイスするのだ。

竹というのは、経験した人ならと思うが、とっても気持ちよくパカっと割れる。まさにあの”竹を割ったような性格”と形容するように、あと腐れなくスカッと割れる。

まだ未経験の方がいたら是非とも一度体験してほしい。あなたも竹を割ったような性格になるかもしれない。


その割った竹の節を取り、壁に沿って編み込んでいく。これをえつりと呼ぶが、ここのえつりは伝統的なものとは違う。編み込むと言うよりタッカーで柱に打ち付け、竹と竹同士もタッカーで留める。


出来上がってくると、それはまるで大きな竹カゴのようで、これでもいいんじゃないかと感じるくらい。自然素材で作る建築というものは、それが例え下地の状態であろうが、それぞれの段階で美しいのだ。だから自分たちも例え下地の状態だからといって手を抜けない。下地であっても綺麗に美しく作りたい。

この窓周りが一番苦労した部分だ。アルミサッシの周りに上手く土が付くようにシュロ縄を巻いた竹をぐるりと回した。他の開口部分も同じく苦労したが、こここそが、この建物の見せ所になるのだ。

つづく

松阪の家 土壁下地について

《松阪の土壁の家 Part5》

これは2016年5月頃のお話。
いつまでも去年の話を書いてる訳にいかないのだが、書くことがたくさんありすぎて、中々進まない。

さてさて、建前が終わり、いよいよ土壁付けに入る松阪の家。ここで使用する竹は、全て地元の山から切り出したものだ。
土は、この前年から現場でプールを作り、藁をたくさん掘り込んで、寝かしてあったもの。何もかも大変手間が掛かっているのだ。

そしていよいよ登場するのが、K山左官。

このシルエットでは、どんな人か分からんね。
こんな人です。

一目見てよく分かるように、見た目はクマさん、しかし飛び切り明るいムードメーカーの左官職人である。
彼は、その土地の材料を使い、愚鈍なまでに、ただひたすら伝統的な土壁を作る男だ。
ただ、彼は単に土壁を塗っているのでは無い。彼のやることには全て理由があり、それは今の経済理念で測ることは不可能。
その考えは人類を救うのか、いやそれとも破滅に導くのか、、軽薄短小なわたくしには、そこら辺のことを語ることは出来ない。
気になる方は、直接会って話をしてみるといい。

彼が出てくるモバイルハウス編。こちらも読んでみよう。→ スモールハウスPart3  Part4

 

さあ、話を進めよう。この現場では工期がなく、予算も限られているので、その中でいかにいいものを作ることが出来るかが勝負となる。土壁においては、何よりも下地が大切。いくらウワベの化粧を綺麗にしても、その元となる下地がガタガタでは意味はない。

よって、まずはしっかりとした下地を作り、予算を抑えるには上塗りまでせず終わる、ということになる。

少し専門的になるが、簡単に工程ごとに簡単に説明する。

  1. 下地=えつり掻き  これは前年の秋に切った竹を割り、そして荒縄、もしくはシュロ縄でしっかりと編み込む作業。実は最も手を抜かれやすい場所であるが、最も大切な工程でもある。
  2. 荒壁塗り      荒壁とは、赤土に藁をたくさん入れ、長い間寝かして作った、粘り気のある土壁の材料である。これを、編み上げた“えつり”に塗りつけていくのだ。
  3. 裏返し      荒壁は、えつりの両面から塗りつけることになるが、そのタイミングも大切だ。この松阪の家では、荒壁も重要な構造になるので、大きな地震がきた時、簡単に剥がれ落ちてしまうことがあってはならない。そのために、両面から塗りつける荒壁同士が、しっかり一体となるように塗る必要がある。

ここまでが、下地の工程。

なお、竹を切る時期、荒壁を塗る時期など、季節によって左右される。
自然界を無視して、人間の都合だけでは決して進まない。それが自然素材を使った、伝統構法の家作りなのだ。

つづく

 

 

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