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鳥羽の土壁の家⑨ 土壁の外に断熱材を入れる理由

鳥羽の土壁の家、続編。
施主さんが、頑張って塗った荒壁。

施主様ブログはこちら→ 自然と共に

荒壁土が乾いてきたところで、さあやっと大工さんの出番だ。

と、言いたいところだが、実はまだまだ土塗りは続く。
荒壁の上に貫伏せ、そして大直し、というさらなる左官仕事が待っているのだ。
荒壁の状態では、土壁というのはそれほど強くない。そして貫という構造体も見えたまま。
その上にさらに土を塗っていく事によって、壁の厚みを増し強度を出すのだ。

 

 

この作業は、外壁を張る前にしなければならない。ここも、もちろんお施主さん施工。
セミだろうが何だろうが、セルフビルドである以上、お施主さんに休む暇なんてない。

 

 

そうして、外部周りの大直しが出来たら、ようやくここで我々の登場である。
先ずは窓を取り付け、そして外壁下地を作るのだが、この現場では断熱材も入れる。

 

 

土壁にも断熱作用は有るが、あまり期待は出来ない。どちらかと言うと、蓄熱、蓄冷するものだ。

そうした時、土壁の外側に断熱材を入れることによって、土壁自体が外部の温度変化の影響を受け難くなり、室内温度も一定に保ちやすくなると考えている。

 

 

ここで使用した断熱材は、フォレストボードという、杉皮とパルプを固めたものだ。
この材料は、透湿性があり、土壁の吸放湿性能を損なわないし、天然素材100%である。

このように、土壁に密着させ、この上に胴縁という下地を打ちつけ、外側に通気層を設ける。
通気層とは、文字通り空気が通り抜ける層である。
断熱材内部に侵入した、雨や湿気を乾かせるために必要である。

そして、次は外壁だ!

つづく

 

四日市の町家再生⑤ 解体始まる

さあ、四日市の現場の続きに戻る。
工事に先立って、先ずは中の荷物の片付けと、改修部分の取り壊しだ。
ここは、お施主様が頑張って行われた。
沢山あった荷物や家具は、ゴミに出したり、不用品引取り・お友達に貰ってもらうなどして、処分。
解体もお施主さんが中心となり、御手伝いを含め、進行。
普段デスクワークのお二人にとっては、大変な作業であったと思われる。

奥の離れ屋。プリント合板などの建材は全部剥がす。

中庭の下屋根部分は、作業性を考え、両側の壁と、風呂周りのコンクリート壁を残して、あとは解体。


そして、いよいよ我々の工事が始まった。
工事する場所は、主に中庭に面した水周りの部分。3尺巾の通り土間を抜けなければ、ここへはたどり着けないのだ。
どういうことかというと、大きな機械での作業は出来ないということ。
よって、基礎工事から、手で穴を掘ってコンクリートも手で練って、という人海戦術なのだ。

そしてさらにそこからが難しい所だ。既存のコンクリート壁や梁の上に柱を立て、屋根を掛けるのに難航する。

何故なら、古い家は、ちっとも真っ直ぐ建っていないし、高さも下がっていたり、カネも出てない(いわゆる90度でない)。

よって寸法を出すのに時間が掛かる。が、リフォームとはこういうものだ。


この複雑な増築の棟梁を務めたのは、叩き上げの大工、橋本君だ。そこをある時はボーダー、ある時は大工の坂下さんが補佐する体制で進めた。

 

そして、いよいよ屋根まできた。


この日は、鳥羽の現場で仕事をしていた弟子の桝屋も呼び寄せ、自分も参加していっきに屋根を仕上げる。

ここまで来るのに苦労したので、皆嬉しかったと思う。
もう、建前みたいに屋根から餅まきしたかったくらいだ。

これでようやく、中の造作工事へと進めるのだ。

つづく

 

 

静岡遠征日記② 富士で土壁を塗る

さて、この北山さんの現場でも活躍するのが、流浪の民ならぬ、流浪の左官、小山氏だ。

 


髭のクマさん小山さんと、ハンチング帽がトレードマークの北さん。

 

 

ここでも当然ながら、荒壁は、1年以上藁を漉き込み寝かしてある。もちろん編み上がったえつり竹も自分達で切ってきたものだ。

 

 

今回は、公開イベントなので、参加者が続々と集まってくる。


子供たちも来ていて荒壁付けの講習のあと、一緒に土塗りをする。

 

ちなみに子供達が塗っている場所は、土壁が見えなくなる箇所だから、まあちょっとくらいデコボコでも問題ない。

 

 

 

 

さて我々三重組は、せっせと荒壁塗りのお手伝い。前田は、左官屋顔負けのコテさばきでドンドン壁を塗り付け、sigezoは、せっせと荒壁を運び、自分は、主に土差しをする。土差しというのは、土を塗っている人に、土を受け渡す役割りのことだ。



お昼を挟んで、夕方迄お手伝い。

土塗りイベントは、翌日の日曜こそが参加者も多いメインの日だ。
が、次の日予定のある我々は、涙を飲んで帰宅するのであった。

おわり。

静岡遠征日記① 富士で見た屋根瓦

それは先週土曜のこと。
静岡で、土壁付けワークショップがあるというので、参加してきた。

主催者は、北さんこと大工の北山さん。
松阪の土壁の家で、わざわざ静岡からやってきてくれた大工さんの現場だ。→ 松阪の土壁の家⑦荒壁ワークショップの巻

わざわざなんで遠い静岡まで行くの?
それは、もちろんうちの現場に来てくれたらから、そのお返しなのだ。ここにはお金のやり取りは発生しない。手伝ってくれたら手伝って返すのである。
そして何より、生粋の伝統構法住宅を建てている彼の現場を見たかったからというのもある。

木神楽の軽バンに、おなじみヨットから古民家まで手掛ける設計士sigezo、先日独立した大工の前田の二人を乗せ、いざ出発。

現場の富士市までは、約3時間で到着。そして久し振りに見る北山さんの建築に圧倒される。

 

北さんは、基本的にでかい材料で家を作る人だ。そして余計な細かいことをしない。


本人の中では、建て前が終わった時点で、もう家の建築は9割がた終わっているらしい。それくらい構造体に力を入れている。

 

北さんお得意の越し屋根。ここは換気スペースであり、ロフトにもなる。スタイルもかっこいい。
そして何よりこの瓦。

昔ながらのだるま窯で焼いた、手作りの瓦だ。1枚1枚の色が違う。よって何というか、工業製品でない手作り感のある、つまりそれは、ゆらぎを感じられる屋根なのだ。

それは、新築なのにまるで古民家のようだ。
それはそうだろう。昔ながらの製法で作っているのだから。今ある古民家の屋根瓦と同じ製法である。

今の一般的な新築の瓦は、合理化されたシステムによって作られ、品質も安定し丈夫、みな色が揃って、と文句のつけようが無い。
ただ、昔ながらの味わいはあまりない。

さあ、瓦ばかり見てないで土壁を塗ろう。

つづく